パフォーマンスアップ × 障害予防
これまで医療機関で理学療法士としての経験やスポーツ現場でのトレーナーの活動を通じて実感したことは、私たちメディカルスタッフが選手に深く関わるのは「選手が怪我をした後」が圧倒的に多いです。
例えば投球障害については、「 このフォームで投げると肩・肘を痛めやすい 」「 このようなケア・コンディショニングをすれば障害は予防できる 」などの知識は、医療関係者の間では何十年もデータ研究が行われ知識は蓄積され共有されています。
しかし、ことスポーツ現場においては指導者や選手、保護者については、このような知識はなく、また偏った考えを持つ方が多くみられます。
このため、障害予防の知識、自ら身体に意識を向けて管理できる選手選手や、選手をサポートする指導者、保護者、そして選手に関わる全ての方に対して障害予防に対する知識・意識を高めたいと思ってます。
パフォーマンスアップと障害予防は両立できます
野球を楽しくプレーするためには、怪我をしない身体・効率良い動き(正しい身体の使い方)が重要です。野球に必要な技術を身に付けるためには練習が必要です。しかし、練習に耐えられる身体が備わっていなかったり、間違った身体の使い方の繰り返しでは、怪我に繋がるだけでなく、パフォーマンスの向上もしません。
正しい身体の使い方(正しいフォーム)、怪我をしない身体作りを医学的な知見に基づいた指導と現場での経験から指導していきます。
パフォーマンスを今より向上するためには、まず現状を知らなければなりません。現状を知らず闇雲に行ってもベースである今を知らなければ何が向上したのか、何を向上させるべきなのかわからないままです。
まず、選手自身が自分の身体に興味を持つ事から始まります。そして現状を知る事で、課題や目標を明確に、その課題に対してどのような手段を選択し解決していくのか導いていく事、選択肢を拡げてあげる事で、やらされるだけのトレーニングではなく、自分で考えて行えるように選手自身の自立を促していきます。
-パフォーマンスピラミッドという概念-
パフォーマンスピラミッドとは競技力を支える身体的要素を3層に分け、ピラミッドを安定させるようにトレーニングを実施することで、身体のパフォーマンスを向上させようとする考え方です。
選手の場合、競技特性に合わせたスキルトレーニング(競技に必要な技術練習)が必要ですが、スキルアップするためには、筋力やスピード、パワーなどの向上(ファンクショナルパフォーマンス)が必要であり、それらを支えるのは土台となる機能的動作(ファンクショナルムーブメント)が重要です。
この3つの要素が相互にバランスが取れていることが大切であり、バランスが崩れた状態では、技術練習の効率性低下や、怪我のリスクを高める要因となります。
右図はアンダーファンクションピラミッドと呼ばれます。
スキルが高く、それらを支えるファンクショナルパフォーマンスもあるもあるが、ファンクショナルムーブメントが不十分であるために、関節や筋肉になど局所に過度な負荷がかかる原因となります。
このパターンの場合は、怪我のリスクが高まります。また、怪我をしてしまうと、パフォーマンスが低下し思うようにプレーができなくなります。
最下層の「ムーブメント」という土台がしっかりしていないと、上の2つは崩れてしまいます。このしっかりとした土台を作る為には、
例えば、可動域や柔軟性が乏しい状態で、筋力トレーニングやスキル練習ばかり行っても、動作の偏りや動きの制限によりスキルも高まりにくくなってきます。
パフォーマンスを高めるためには、まずこのピラミッドを高くする必要があります。 ピラミッドを高するためにしっかりとした土台作り(身体作り)が重要であり、土台を幅を広げることが大切です。